【2026年】3年連続の凶作でした。今年も、紀州の完熟梅を漬け込みました

福梅プレス

平年のわずか四割という現実 …

2026年の梅収穫も、6月半ばごろには終了しました。
まず、お伝えしなければならないことがあります。

今年もまた、凶作でした。これで三年連続です。

紀南全体で、収穫量は平年のわずか4割ほど。
近年でも記憶にないほど、厳しい年となりました。ニュースなどでご覧になった方も、おられるかもしれません。

なぜ、これほどの不作が続くのか。

雨が少なかったこと、気温が高かったこと。簡単な言葉では、温暖化。です。
他にも、理由はいくつも考えられますが、決定的な「これだ」という一つの答えがあるわけではありません。

そして私たちがいま静かに感じているのは、もっと重い可能性です。

もしかすると、この収穫量が、これからの「普通」になるのかもしれない。そんな予感さえ、頭をよぎるようになりました。

梅の価格は高騰。生梅は昨年の倍の価格に。。。

凶作は、価格にもはっきりと表れています。

今年の生梅は、昨年の倍の価格で取引される場面もありました。

梅仕事のために生梅を買い求めた方は、その値段に驚かれたのではないでしょうか。長年この仕事をしてきた私たちにとっても、これまで見てきた景色とは、まるで違う状況です。

梅は、繊細な果実です。

天候の影響をまともに受け、人の都合では動いてくれません。
だからこそ今年も、さらに梅の一粒一粒が、去年以上に貴重なものになっています。

「これは待てない」予定を前倒しした収穫

当初、収穫は6月1日から始める予定でした。
今年は雨が少なく、気温も高い。それでも、例年通りの段取りで進めるつもりでいたのです。

ところが5月30日。
畑の様子を見にいくと、想定をはるかに超えて、梅が落ちていました。

「これは待てない」。

私たちは、準備が整わぬまま、収穫と漬込みに突入しました。
例年なら、6月に入ってから、収穫量は日を追うごとに少しずつ増えていくもの。

ゆるやかな助走があって、やがてピークを迎えます。
ところが今年は、初日からいきなりピークさながらの量が、どっと押し寄せてきました。

台風襲来で梅の樹が折れる被害も

そこへ、台風が襲いかかりました。

強さそのものは、それほどでもなかったのです。

けれど、まだ青い梅が、風でいくつも落とされてしまいました。
本来なら、樹の上で完熟し、自然に落ちるのを待つ梅たち。

それが未熟なまま地面に落ちてしまうのは、作り手にとって、やはりつらいものです。

さらに今年は、実の重みや天候の影響で、樹そのものが折れてしまったものも少なくありませんでした。

一本の梅の樹が、しっかりと実をつけられるようになるまでには、長い長い年月がかかります。

何年もかけて育ててきた梅の樹が、無残に折れている姿を目にするのは、言葉にできないほどこたえます。折れた樹のむき出しになった断面が、今年の厳しさを、何より雄弁に物語っているように思えました。

そうして収穫は早々に山を越え、収穫のピークは終わってみれば前半に終わっており、想像以上の不作となり、平年作の4割という結果。

例年より10日以上も早く、梅仕事を終えました。

紀州南高梅は完熟後すぐ塩漬け。時間との勝負

紀州南高梅づくりには、ひとつ、絶対に譲れない鉄則があります。

それは、樹の上で完熟し、自然に落ちた梅は、その日のうちに塩漬けしなければならないということ。完熟した梅はやわらかく繊細で、一日でも置けば傷んでしまいます。

梅は、一日たりとも待ってはくれません。

だから収穫の最盛期は、時間との勝負になります。
朝5時に畑へ出て、落ちた梅を一つひとつ拾い上げる。

そして夜中まで、塩漬けの作業が続きます。

とても通常の人数では追いつきません。
ありがたいことに、遠方各地から助っ人たちが駆けつけてくれたのです。

梅の収穫を支える人たち

今年、現場をともにしてくれた仲間の顔ぶれは、実にさまざまでした。

かつて会社を経営していた人。農業大好きな人。農業などの仕事を手伝いながら旅する女性。ラッパーの卵。
そして、地元の高校生たち。

三重、石川、兵庫、福井――遠くから来てくれた人もいます。
世代も、住む土地も、歩んできた道もばらばらな人たちが、梅のもとに集まりました。

農業を経験してきた人でさえ、この現場には驚いていました。
早朝から収穫し、すぐに塩漬けする。

その時間との戦いを目の当たりにして、「こんなふうにして紀州南高梅はできるのか」と、その大変さと苦労を、身に染みて感じてくれたようです。

塩漬けを終えた梅は、これから土用干しへと進みます。
当店ではハウスの中で、真夏の日差しをたっぷりと浴びせながら、じっくりと干し上げていきます。この時季ならではの手仕事が、紀州の梅干しの旨みを、最後に決めるのです。

凶作でも紀州南高梅を守り続ける

三年続く凶作。正直に言えば、楽な道のりではありません。

ご愛顧いただいているお客様にも、相次ぐ資材の高騰に加え、梅の原料不足による値上げという、重ねてのご負担をお願いすることになりました。
心苦しい限りですが、それでも変わらず福梅本舗を選んでくださる皆さまに、スタッフ一同、心より感謝しています。

紀州南高梅を守り、届けていくことは、私たちの使命です。

この梅づくりは、この土地に根ざした大切な地場産業でもあります。
そして梅干しは、日本のソウルフード。
先人から受け継いできたこの食文化を、絶やすわけにはいきません。

だからこそ、豊作の年も、凶作の年も、私たちは変わらず梅と向き合います。
紀州南高梅を、日本の梅干しを、みんなで盛り上げていく。厳しい年だからこそ、その想いを、あらためて強くしています。

今年の梅も、心を込めて漬け込みました。
どうぞ、楽しみにお待ちください。

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